私の原点

コラム

私の原点

私は、セラミック誘電体工学の研究者の父と元彫刻家の母の長女として1951年に京都で生まれました。

幼少の頃より、踊りに大変引きつけられましたが、直接触れるチャンスはたまに連れて行ってもらったバレエの舞台と世の中に出たばかりのテレビだけでした。

母は私にピアノとヴァイオリンを習わせました。
両親の教えに忠実に生き、すぐ下の妹と共に、離れて生まれた4人の弟妹の面倒をずっとし続けた子供時代でした。
それが、後に ”いのちを踊る” ことに繋がって行くとは本人はもちろん、周りの誰も気づきませんでした。

青山学院女子短期大学に入学と同時に関わったESS(English Speaking Society)のドラマセクションそこから夢中になった舞台の世界がありました。

体を作る為に始めた肉体訓練 モダンダンスの面白さ楽しさで、一気に踊りの世界にのめり込んで行きました。
演劇学校に通い、劇団を立ち上げたあとも踊りに夢中でした。

けれど、
当時のモダンダンスは私にとって究極の悲しみ苦しみと同義語でした。踊るほどに救いの無い暗闇に向かい、求めるほどに叫び出したい欲求にかられるのでした。それは一体なんだろう?

日々悶々として苦しむ私に母はポツリと呟きました。

「あなたにはフラメンコが合っている。」

その言葉はまるで神の啓示のように私を貫きました。
フラメンコを意識して観たことなどかつて一度も無かったのに…!

フラメンコは生きている
フラメンコには踊りがある
フラメンコにはドラマがある
フラメンコは音楽そのもの
そして リズムそのもの

フラメンコは踊りとギターと歌が三位一体です。
三者の間に楽譜は存在しないのです。
踊り手は指揮者で、三者は本来対等です。

それ以来、私は一度もフラメンコから遠ざかったことはありません。
結婚しても出産しても、離婚しても辛くても悲しみに暮れる時も、幸せな時も再婚してもそれはフラメンコが自立を促してくれるからです。
自己との対話を可能にし未来を切り開くパワーを持っているのです。

そして、それはプロフェッショナルに限らず、例えばカルチャーセンターで週に一度きりのお稽古を続けるだけの方でも同じなのです。
ですから、基本的に自立できていない方には少しハードルが高いのかもしれません。
また、自立を意識してこなかった方が目覚めることもあります。
誰のものでもない あなた自身の踊りがそこにあるからです。

均等に足を打ち、一定のリズムを繰り返して行く稽古は、あたかも自分の内面と会話しているように楽しいのです。

私はプロフェッショナルの養成講座も指導し、おびただしい舞台も創りあげてきました。

これからも、美しくて愉しくてエキサイティングであり得ない舞台を、いのちの最後まで生み出して行こうと思っています。
そして皆が、フラメンコを愛する人皆が、何も知らない人までもの皆が喜び、興奮して命みなぎる舞台をたくさんシェアしていきたいと思っています。

フラメンコFuture 代表理事
沙羅一栄

一般社団法人フラメンコFuture
代表理事 沙羅一栄

フラメンコの舞踊を福岡慶子、碇山奈奈、ラウールらに師事し、独自のスタイルのフラメンコを確立した。
1982年12月に舞踊スタジオ「アルテ・フラメンコ」を設立、後に「アルテフラメンコ舞踊学院」と名称を変え、フラメンコの教育という面でも画期的な足跡を残している。
参画した舞台、指導した芸能人多数。
2000年には、【沙羅塾】の功績により、日本文化振興会による『国際芸術文化賞(平成11年度下半期)』を受賞。
1990年以降、フラメンコ・フェスティバル、また演劇と融合した数々の舞台作りが高く評価されている。最近では、ホセ・グレコ、カルメラ・グレコとの競演が続いている。
2019年8月26日【一般社団法人フラメンコFuture】を設立 日本初のフラメンコオンライン講座開講
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